キャリアコンサルタント資格は5年ごとに更新が必要です。更新を怠ると資格を失効してしまうため、早めの準備が欠かせません。本記事では、更新にかかる費用や更新講習の免除条件、実際の手続きの流れまでをわかりやすくまとめました。
これから更新を控えている方は、必要なポイントをしっかり押さえてスムーズに手続きを進めましょう。
目次
キャリアコンサルタント資格は5年ごとに更新が必要!
キャリアコンサルタントの資格は、一度取得したら一生有効というわけではありません。国家資格としての信頼性を保ち、常に最新の知識とスキルを持って活動できるようにするため、5年ごとに更新が義務づけられています。
更新の基準日は「キャリアコンサルタント名簿への登録が完了した日」で、この日から5年以内に所定の更新手続きを完了する必要があります。
つまり、登録してから5年間のあいだに「更新講習」を受けたり、申請のための手続きを済ませたりしなければ、資格を維持できないという仕組みです。
更新に必要な条件と手続き方法
キャリアコンサルタント資格を維持するには、更新条件を満たしたうえで、決められた期限までに手続きを行うことが必要です。ここでは更新の基本的な流れを整理していきます。
更新条件(必要な講習受講)
更新するには、まず登録から5年間のあいだに「更新講習」を受けることが必須です。更新講習は次の2種類に分かれています。
- 技能講習(8時間以上):相談者への対応力やキャリア支援のスキルを磨く内容
- 知識講習(30時間以上):法律や制度の改正など、最新の知識を学ぶ内容
両方を規定の時間数受講することが条件となっており、すべてを修了した後に修了証が発行されます。この修了証が更新手続きの際に必要です。
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更新の手続き方法(申請手順・必要書類・期限)
更新条件を満たしたら、厚生労働大臣が指定する「キャリアコンサルタント登録センター」へ申請を行います。
基本的な流れは以下の通りです。
- 更新講習の修了証を準備
- 必要書類(申請書・顔写真など)を揃える
- 更新手数料(8,000円)を納付
- 申請書類一式を登録センターへ提出
更新する場合は、登録の有効期間満了の日の90日前から30日前までの申請受付期間中に申請をしなければなりません。余裕を持って準備を進めるのが安心です。
更新が「間に合わない」場合の対応策
「仕事や家庭の事情で講習を受けられなかった」「申請が期限を過ぎてしまった」といったケースでは、資格は一度失効してしまいます。
ただし、次のような方法で資格を取り戻すことは可能です。
- 再登録申請を行う
更新講習を改めて修了したうえで、再度登録申請をすることで、資格を回復できます。
【注意点】
失効中は「キャリアコンサルタント」と名乗ることができません。再登録には再び手数料が必要になり、余計な時間とコストがかかります。一度空白期間ができると、信頼性の面で不利になる可能性があります。
できるだけ余裕をもって講習や申請を進め、失効を避けることがベストです。
キャリアコンサルタント更新講習の種類と受講内容
前述したようにキャリアコンサルタント資格を更新するためには、規定の時間「更新講習」を受けることが必須です。
更新講習は、相談の現場で必要なスキルや最新の知識を身につけ直す機会であり、資格者が常に一定以上の専門性を持ち続けられるように制度化されています。
ここでは、講習の種類や学習内容、時間の目安や受講形式について詳しく解説します。
知能講習と技能講習の違い
更新講習には大きく分けて知識講習と技能講習の2種類があります。
- 知識講習(8時間以上必須)
法律改正や雇用制度の変化、キャリア形成に関わる最新の社会動向などを学び直す講習。キャリアコンサルタントは社会の仕組みを理解して相談にあたる必要があるため、最新情報を常にアップデートすることが目的。 - 技能講習(30時間以上必須)
実際の相談業務に役立つスキルを学ぶ講習。ロールプレイや事例演習を通して、相談者との面談の進め方や課題解決の方法を実践的に身に着ける。
更新講習にかかる「時間」目安
更新に必要な講習時間は明確に決められています。知識講習は8時間以上、技能講習は30時間以上、合計で38時間以上の受講が必須です。
この時間は一気にこなす必要はなく、複数の講習を組み合わせて積み上げていく形でクリアできます。
忙しい方でも、仕事や生活に合わせて少しずつ進められるように柔軟なスケジュールが組めるのが特徴です。資格を更新するまでの5年間という猶予期間をうまく活用すれば、無理なく学びを継続できます。
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キャリアコンサルタントの更新にかかる費用
キャリアコンサルタント資格を更新するには、更新のための「手数料」と「講習受講料」の2つの費用がかかります。
資格を維持するためには必ず必要となるため、あらかじめ全体でどのくらいの金額になるのかを把握しておくことが大切です。
更新手数料は8,000円
更新手数料とは、資格を管理している「キャリアコンサルタント登録センター」に支払う費用です。更新の申請を行う際に必要となり、金額は一律8,000円(税込)と決まっています。
この手数料は、登録簿に引き続き名前を載せてもらうための事務手数料と考えるとイメージしやすいでしょう。支払い方法は、申請書類を提出する際に案内される指定口座への振込など、公式の手続きに従って行います。
更新講習の費用は約120,000円
もう一つ大きな費用が、更新講習の受講料です。技能講習と知識講習を合わせて38時間以上の受講が必要ですが、その合計費用はおおよそ12万円前後になります。
- 知識講習:1講習あたり6,000円~35,000円程度
- 技能講習:内容や時間によって幅がありますが、合計30時間分を受講すると、約10万円前後が目安です。
費用は一括で支払う必要はなく、複数年に分けて少しずつ受講・支払いしていくことも可能です。そのため、早めに講習計画を立てておけば、家計への負担を分散させながら無理なく資格更新を目指せます。
キャリアコンサルタントの更新を免除・費用を安くする方法
キャリアコンサルタントの更新には、更新手数料8,000円に加え、講習費用として10万円以上がかかるため、負担に感じる方も多いのではないでしょうか。特に「仕事ではあまり資格を使っていないけど、更新はしておきたい」という方にとっては、大きな出費になりがちです。
しかし、条件を満たせば更新に必要な講習の一部が免除され、時間や費用の負担を軽くできる場合があります。ここでは代表的な3つの方法を紹介します。
技能検定キャリアコンサルティング職種(1級・2級)に合格する
キャリアコンサルタントには「技能検定キャリアコンサルティング職種」という上位資格があり、1級・2級技能士に合格している場合は、更新講習の一部または大部分が免除されます。
- キャリアコンサルタント登録前に1級を所持している方
→ 更新時に、技能講習(30時間)は免除。ただし、知識講習(8時間)は必須。
- キャリアコンサルタント登録後に1級or2級に合格した方
→ 合格後、最初の更新に限り、技能講習(30時間)も知識講習(8時間)も全て免除(ただし合格から5年以内が対象)。1級に合格した方は、その後も技能講習が免除される。
なお、 2級を登録時に所持していた場合は免除対象にならない点に注意してください。試験の難易度は高いですが、合格すれば資格の信頼性が高まり、更新の負担も軽くなるという大きなメリットがあります。
キャリアコンサルタントの実務に従事する
更新制度では、実際にキャリアコンサルティングの仕事に従事した時間が一定数認められると、技能講習の必要時間が免除されます。免除されるのは最大で10時間分です。
「実務に従事する」とは、単に教育活動や情報提供をすることではなく、以下のような相談業務を指し、実務従事に該当するかどうかは個別に判断されます。
- 支援対象者が「労働者」であること
ここでいう労働者には、現在働いている人だけでなく、求職者や就職活動中の学生も含まれます
- 相談の目的がキャリアに関わるものであること
具体的には、職業選択・キャリアプランニング・能力開発やスキル向上に関する相談です
- キャリアコンサルティングが一対一、または少人数のグループで行われていること
講義や訓練そのものの運営は対象外で、あくまで相談・面談形式が求められます
たとえば、大学のキャリアセンターでの学生面談、人材紹介会社での転職相談、ハローワークでの職業相談などが該当します。普段からこうした実務経験を積んでいる方は、更新時に働きながら講習時間の一部をクリアできるため、費用と時間の両面で負担を軽減できるでしょう。
「実務従事」に関する詳しい条件は「実務従事に関する証明書の注意事項」をご確認ください。
1級キャリアコンサルティング技能士から指導を受ける
もう一つの免除対象となるのが、1級キャリアコンサルティング技能士からの実務指導を受けた時間です。これも「実務従事」と同様に、技能講習の必要時間から免除されます。
ただし、ここで注意したいのは、実務従事と1級技能士からの指導を合わせて最大10時間までが免除の上限となる点です。たとえば、実務従事で6時間分が認められ、1級技能士からの指導を5時間受けていた場合でも、合計で10時間が上限のため、免除されるのは10時間までとなります。
この仕組みは、1級技能士による指導が講習と同等の価値を持つと認められているため設けられています。単に費用や時間を削減できるだけでなく、現場で高い専門性を発揮している技能士から直接学べるため、実務的なスキルアップにもつながります。
キャリコンサロンでは免除のための実務・指導を受けられる環境が整っています!
キャリコンサロンは、キャリアコンサルタント有資格者が集まり、学び合い・交流しながら実践経験を積めるコミュニティです。全国の会員とつながり、事例共有やスキルアップの機会を得られるため、孤独になりがちな資格保持者にとって心強い存在です。
キャリコンサロンでは、更新講習の免除に必要な「実務」や「指導」経験を積める環境も整っています。具体的には、以下のような活動が免除対象として認められます。
- 実務にあたる取り組み
HRラボより依頼されて行う「セルフ・キャリアドック」の面談業務は、実務従事として認められています。キャリア相談の現場で実際に面談を行うことで、更新に必要な技能講習時間の一部を免除できる可能性があります。
- 指導にあたる取り組み
HRラボが主催する 1級技能士による「キャリコン道場」 や、キャリコンネットでの個別スーパービジョン「キャリコンのキャリコン(SV)」 も、1級技能士からの指導として免除対象に含まれます。こうした指導を受けることで、講習と同等の効果が認められ、最大10時間までの免除に活用できます。
希望者には、免除申請に必要となる証明書も発行されるため、安心して取り組むことが可能です。キャリコンサロンを活用すれば、単に費用や時間を節約できるだけでなく、現場で役立つスキルを高めながら更新条件をクリアできるという、大きなメリットを得られます。
キャリアコンサルタントの資格を更新しない場合の影響
キャリアコンサルタントの資格には更新制度があり、一定期間ごとに講習を受けて資格を維持する必要があります。もし更新をしないまま期限を過ぎてしまうと、資格はそのまま使い続けられるわけではなく、さまざまな影響が生じます。
ここでは「資格の扱い」と「実務への影響」に分けて詳しく見ていきましょう。
資格停止・再取得の可能性
更新を行わずに期限を過ぎてしまうと、資格は「失効」扱いとなります。失効した場合、キャリアコンサルタントを名乗ることや資格を活かした活動はできなくなります。
再度資格を得るには、登録の手続きをやり直すだけでなく、場合によっては再受験や追加の講習が必要になることもあります。これまで積み上げてきた努力や実績が無駄になってしまう可能性があるため、更新を怠らないことが大切です。
実務への影響とキャリアリスク
資格が失効すると、当然ながらキャリアコンサルタントとして仕事を継続することはできません。勤務先や契約先によっては、資格を条件として雇用されているケースも多く、その場合は職務の継続が難しくなったり、契約が終了してしまうリスクもあります。
資格を更新しないというのは、単に「資格が使えなくなる」という問題にとどまらず、自身の仕事の幅や将来のキャリアに大きな影響を及ぼす点を理解しておくことが重要です。
キャリアコンサルタント更新の手順・流れ
最後に改めて、キャリアコンサルタント資格の更新のために必要な流れを見ていきましょう。
STEP1:更新日(有効期限)を確認する
資格証に記載されている有効期限をまず確認してください。資格の更新申請は、有効期限の90日前から30日前までの間にマイページから行う必要があります。それ以前や以降の申請は受付されませんので、スケジュールに登録しておきましょう。
STEP2:更新講習を受講し、修了証を準備する
更新に必要な「知識講習」「技能講習」を受講し、修了証を取得します。修了証の受講日付は、更新申請時点で有効期限から遡って5年以内である必要があります。マイページから申請する際は、講習の修了証画像のアップロードが必須ですので、事前にスキャンや撮影して準備しましょう。
STEP3:マイページから申請情報を入力する
マイページにログインし、更新申請フォームに必要事項を入力します。内容としては、住所・勤務先など個人情報の確認のほか、受講講習の入力(講習名・日付・時間)が求められます。修了証は画像としてアップロードが必要です。過去の氏名と異なる場合など、本人確認のための書類が追加で必要になることもあります。
STEP4:更新手数料(8,000円)をオンラインで支払う
申請後、マイページ上で更新手数料の支払いへ進みます。クレジットカードまたはコンビニ/ペーパーレス決済が利用可能です。支払いが確認された時点で申請が完了し、登録センターによる審査受付となります。
STEP5:登録センターで審査・受付される
提出内容や修了証、手数料の確認が行われ、審査を経て更新が承認されます。審査には通常約4週間要しますが、繁忙期などでは遅れる場合もあります。書類に不備があった場合は修正依頼が入ることがあるので、メールなどの通知には注意してください。
STEP6:新しい登録証が登録者に郵送される
審査完了後、新しい有効期限が記載された登録証が簡易書留で自宅に郵送されます。住所や氏名に誤りがないか、必ず確認し、問題があれば登録センターに連絡しましょう。古い登録証は個人情報保護の観点から自分で廃棄する必要があります。
よくある質問(Q&A形式)
Q1:更新講習の費用はどのくらい?
更新講習には「知識講習」と「技能講習」があり、それぞれ受講料が異なります。
- 知識講習:1講座あたり6,000円~35,000円程度
- 技能講習:内容や時間によって幅がありますが、合計30時間分を受講すると、約10万円前後が目安です。
これらを合わせて、更新に必要な講習費用は合計で約12万円前後になります。さらに更新手数料8,000円も必要です。講習は5年間に分けて少しずつ受講できるため、費用の負担を分散させる工夫が大切です。
Q2:更新講習を免除できる条件はある?
基本的には更新講習の受講が必須ですが、特定の条件を満たす場合は一部免除されることがあります。代表的な例は以下の通りです。
- 技能検定キャリアコンサルティング職種(1級・2級)合格者
登録前に1級を取得している場合:技能講習30時間が免除、知識講習8時間は必須。
登録後に合格した場合:最初の更新に限り、知識・技能ともに全て免除(合格から5年以内)。
- 実務従事時間:大学や企業での相談業務など、一定の実務経験は技能講習時間の一部(最大10時間まで)が免除されます。
- 1級技能士からの指導:1級技能士による実務指導時間も免除対象となり、実務従事との合算で最大10時間まで免除されます。
Q3:更新手続きはどのタイミングで始めるべき?
更新申請は、資格有効期限の90日前から30日前までの間にマイページで行う必要があります。例えば、2025年3月末が有効期限なら、2024年12月末〜2025年2月末の間に申請する形です。
ただし、講習の受講は5年間を通じて行う必要があるため、少なくとも1年前には計画を立てておくのがおすすめです。人気の講座は早く埋まることもあるため、余裕をもったスケジュール管理が安心につながります。
Q4:更新講習を受ける時間がない場合は?
知識講習はオンライン受講が可能で、自宅や職場から隙間時間を活用できます。一方、技能講習はグループワークや演習を含むため、対面受講が必須となる講座もあります。
忙しい方には、平日夜間や土日、短期集中型のプログラムも用意されています。5年間の猶予期間を活かして、早めに少しずつ受講しておくと、仕事や家庭と両立しやすくなります。
Q5:もし更新に間に合わなかったらどうなる?
期限までに講習や申請を終えられないと、資格は失効します。失効中は「キャリアコンサルタント」と名乗って活動することはできません。
ただし救済措置があり、失効から5年以内であれば再度更新講習を修了することで、試験を受け直さずに再登録できます。5年を過ぎると再受験が必要になるため、期限管理が非常に重要です。
Q6:キャリアコンサルタントの更新はなぜ必要?
キャリアコンサルタントは国家資格であり、その信頼性を保つために定期的な更新が義務づけられています。社会や労働市場は常に変化しており、最新の法律や雇用制度を理解していなければ、適切な支援ができません。
更新講習は、相談スキルの向上や知識のアップデートを通じて、資格者が常に一定以上の専門性を維持できるようにするための仕組みです。つまり、相談者に安心して支援を提供できるようにする国家的な品質保証制度といえます。