新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に伴い、採用活動の時期を見合わせている企業は、かなり多くなっています。
採用活動に関わる、人事担当者やキャリアコンサルタントの中には、今後の採用に危機感を覚えている方も、少なくないのではないでしょうか。
そのような中、採用活動を可能にするために、急速に導入が進んでいるオンライン採用面接。
オンライン面接を正しく導入・運用するために、メリットや注意点・具体的な面接官のポイントまでを詳しく紹介します。
目次
オンライン面接とは
オンライン面接とは、パソコンやスマートフォンを用いて面接を行う、採用活動の手段の一つです。
インターネットを通じて面接を行うことで、応募者と企業の担当者が直接会うことなく、採用面接を行うことができます。
直接的な接触を避けられるため、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の対策にも有効であることから、オンライン面接の導入を急いでいる企業は、少なくありません。
以前より注目されていたオンライン面接
感染症対策のために、導入が検討されていると思われることが多いオンライン面接ですが、実は、以前より高い注目を集めていました。
その背景には、近年の企業課題として挙げられている、「慢性的な人材不足」の現状があります。
(出典:独立行政法人労働政策研究・研修機構「完全失業率、有効求人倍率1948年~2019年_年平均」)
人材不足を図る指標として用いられる有効求人倍率は、有効求職者数に対する有効求人数を示したものです。
有効求人倍率は1を中間値とし、1より小さければ、働き手よりも求人数が少ないことを示し、1より大きくなるほど、求人数に対して働き手が不足していることを示します。
2010年から2019年にかけての有効求人倍率は、年々増加傾向にあり、2019年では1.60倍でした。
働き手が不足している今、一部地域や都市部のみで採用活動を行う場合、採用競争が激化し、人材の確保が困難に。
そこで、地方や海外の人材へもアプローチを可能にし、優秀な人材をより多く確保するために、オンライン面接は注目されているのです。
オンライン面接のメリット
企業がオンライン面接を行う場合、次のようなメリットがあります。
・採用活動のコスト削減
・選考辞退の回避
一般的に、企業が採用面接をする場合、移動費や会場の準備・片付け、開催に伴う人手の確保が必要になります。
より多くの人材を確保しようと、地方においても採用面接を行うのであれば、さらに費用がかさむことに。
対するオンライン面接では、安定したネット環境と通信デバイスのみで、採用面接を行えるため、大幅なコスト削減が可能です。
加えて、応募者の選考辞退の回避にも、オンライン面接は効果的です。
経済的に何度も都市部に足を運べない学生や、すぐに次の職場を探している求職者にとって、費用と時間は選考辞退をする要因になり得ます。
面接の日程や開催地が合わないことによる応募者の選考辞退は、距離や時間に比較的左右されないオンライン面接で、解決することが可能になるのです。
オンライン面接のデメリット
オンライン面接には、次のようなデメリットもあります。
・応募者の状態・印象が伝わりにくい
・ネットワーク環境によるトラブルの可能性がある
映像を用いる場合、多くは上半身のみが映った状態での面接になるため、立ち振る舞いや声の大きさ、応募者の正確な印象が伝わりにくい欠点があります。
また、ノイズの発生や遅延・回線の切断など、オンライン面接ならではの問題もあります。
両者のネットワーク環境が重要になるので、応募者と事前にネットワーク環境を確認しておく必要も出てくるでしょう。
オンライン面接の際の面接官のポイント
オンライン面接のメリットを十分に発揮し、効果的な採用活動を行うには、デメリットをカバーするための、適切な対策法を知っておくことが重要です。
面接官がオンライン面接を行う際に、押さえておくべきポイントは、次のようなものがあります。
・応募者との事前の打ち合わせを念入りに行う
利用しているネットワーク環境によっては、接続が悪かったり、途中で回線が切断されてしまう可能性があります。
そのため、ネットワークの推奨環境の案内や、使用するツールによっては必要になる、事前ダウンロードの案内を行っておきましょう。
事前打ち合わせの段階では、面接中にネットワークが切断されてしまった場合の、対応方法を決めておくことも大切です。
通信が途絶えた場合、面接が時間内に完了できない可能性があります。
面接官の方から電話・メールを送るといった対策を決めておくことで、求職者の混乱を防ぎ、トラブルにすぐに対処できるでしょう。
また、面接官が初めてオンライン面接を行う場合、使用するツールの使い方を十分に理解しておくことは、面接を円滑に進めるためだけではなく、混乱を避けるためにも必要です。基本的な操作方法は、前もって理解しておきましょう。
・周りの環境に配慮する
オンライン面接を始める際には、映りこむ背景・周囲の人・環境音に配慮が必要です。
普段使っているデスクで面接を行うと、周囲の会話内容や、会社の重要な書類・情報が映り込んでしまう危険性があります。
また、採用面接では応募者の個人情報を扱うため、周囲に人がいる状況は、応募者からの信頼を損ないかねません。
可能な限り別室を用意し、人の出入りがないよう、最適な環境をセッティングしておくと良いでしょう。
・カメラの先にいる応募者を意識する
オンライン面接では、画面に相手の顔が映りますが、画面を見ても目は合いません。
多くの場合、カメラは画面よりも高い位置にあるため、画面に映る面接官の視線は、見下しているように映ってしまいます。
過度な緊張感や威圧感を与えないために、自分が話す時や相手が話している時は、時折カメラを見るように意識しましょう。
そして、話し方も大切です。質問はできる限り簡潔に、そして、ゆっくり/はっきり話すことを心がけましょう。うなずいたり、話を聞いているときに声を出して反応するなど「聞いていますよ」とリアクションを取ることも大切です。
また、面接終了後の「通話終了ボタン」も、相手が切る前に押してしまうと、印象も変わりますので気をつけましょう。
・背景を工夫する
企業や面接官の印象を高めるために、背景を工夫することもお勧めです。会社のロゴや、オフィス風景の画像などをあらかじめ準備する企業も増えてきています。
オンライン面接で応募者を見極める観点
オンライン面接の場合、声の大きさ・立ち振る舞い・円滑なコミュニケーションによって、応募者の能力・熱意を測ることが困難になります。
そのため、オンライン面接で正確に応募者を見極めるには、対面の採用面接とは少し異なる観点に、重点を置かなければいけません。
具体的には、
・オンラインであっても、身だしなみ・相手からの見られ方に気を使えるか
・正確なコミュニケーションを取ろうとしているか
・人間性・仕事の価値観・志望度合いなどを測る質問内容を重視する
といったポイントです。
限られた視覚情報の中にも、応募者の人間性や、人としての振る舞い方は見えてきます。
マイクを通すと、意図せず聞き取りづらくなってしまう場面もありますが、その状況の中でも、正確なコミュニケーションを心掛けているかという点も、重要な判断材料です。
また、対面だからこそ伝わる、応募者の熱意や会社の雰囲気に合っているかの判断については、質問内容で測る必要があります。
例えば、「仕事において重要だと思うこと」「入社後に実現したいと思うこと」「同業の会社もある中で、なぜ当社なのか」などです。
応募書類の内容だけではなく、仕事に対する考え方や、自社に対する理解・熱意を質問によって掘り下げていくことで、オンラインであっても正確に判断できるようになるでしょう。
まとめ
オンライン面接を行う際には、メリットとデメリットを十分に把握した上で、デメリットをカバーする対策を立てる必要があります。
ツールの使い方を把握しておくことはもちろん、応募者のネット環境の確認を行ったり、トラブル時の対処法を事前に打ち合わせておいたり…など。
また、円滑なコミュニケーションが取れるように、普段の採用面接との違いを理解し、相手にどう映るかを想像しながら、面接を行うことも大切です。
今後、採用活動に関わる人事担当者やキャリアコンサルタントにとって、オンライン面接のスキルは、企業における人材確保のために重要になるでしょう。
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