「仕事は待っているだけでは手に入らないから何をするべきか自由に考えて行動に移して欲しい」
大阪のビジネススクールの実践を武器に活躍するキャリコンは、自由な発想と未来志向の大切さを伝える面白い人メーカー
大阪でキャリアコンサルタントとして活躍されている岩川弥生さん。結婚・出産後、パート勤務を経て工科高校やビジネススクールの講師からキャリア支援の道に転身したキャリアを武器に、人と違うキャリアを歩んでいても、しっかりと自身の望むキャリアを構築できるようになる面白い支援を展開して実績を挙げてこられたそうです。
また、2021年4月からは、地元大阪でキャリアコンサルタント試験対策講座の講師の経験を活かし、キャリコンサロンのキャリコン資格受験者応援コミュニティ「プレキャリ」の運営にも携わられています。今回はそんな岩川さんにキャリアコンサルタントになられたきっかけやこれまでのご経験についてお話を伺いました。
キャリア支援者のスタートは受講生を助けようと志願した受講生の就職のお手伝いから。人脈と行動量で積み重ねたスキル
-キャリアコンサルタントの資格を取得されたきっかけを教えてください。
私、キャリアコンサルタントが国家資格になる以前から3DCADを教えるビジネススクールのインストラクターとして、受講生の方の就労支援をやっていたんです。
そのころはCADもまだまだ黎明期で、大金を掛けて必死で勉強して技術を習得しても、仕事が少なくて就職に困る受講生があふれてしまったんですよ。
ただ受講生さんを放り出すわけには行かないので、志願して受講生の就職のお手伝いを始めました。講師の傍ら企業への求人開拓をしながら、受講生のカウンセリングや書類作りの手伝いから、面談について行ったりと本当になんでもやりましたね。立場はあくまでインストラクターですから、勿論全部持ち出しで(笑)。それがキャリア支援者としての始まりです。
がむしゃらな活動と、今もキャリアの師匠と慕う田村繁樹先生のご協力もあって、就職が決まる受講生が増え、その実績からスクールと企業とのタイアップ的な企画も進み始めていたんですが、そんな時にリーマンショック。
私の仕事だけでなく…やっとの思いで仕事を得た受講生の仕事まで吹き飛んでしまい、人生が大きく変わるのを目にして、ここでしっかり勉強しなければと、キャリアと心理の勉強を始めて資格を取りました。
-すると2009年までは専門的な勉強はされて来られなかったんですよね。どうやってスキルのベースを積み上げてこられたんですか?
そうですね。私の面談のベースは師匠なんですよ。対人支援者のあり方として昔から叩き込まれてきたのが、哲学者のハイデッガーが唱える「世界-内-存在」の考え方で、その人の存在や世界はその人だけのものだから大事にしないといけないということです。
クライアントの内面には土足では絶対に上がらない。ちゃんとドアをノックして靴を脱いで、できたら靴下を履き替えろみたいな(笑)。とにかくクライアントを大切に大切に向き合うように教えられました。
あとは実務ですね。日々スクールの受講生の方の支援で向き合う中で自分で試しながら学んだここと、田村先生ご自身や先生にご紹介していただいた企業の方、求人開拓の営業で訪れた企業の方にも教わりながら一つ一つやり方を組み立てていったような気がします。
元々先生と出会ったのも同じビジネススクールですし、その意味でもやはりスクールでの経験は私のキャリアコンサルティングの原点になっていると思いますね。
キャリア支援で大事なのは「納まりのいい言葉」を見つけること。「キャリアに悩む人」を「望むキャリアを掴む面白い人」に変える秘訣
-今聞いても壮絶な様が目に浮かぶようですね。ビジネススクールでのキャリア支援の中で心がけていたことはありますか?
一つはクライアントさんの「納まりのいい言葉」を見つけることですね。これはスクールでキャリア支援を始めたばかりの頃に出会った10年近くブランクがある人のご相談にのったときの経験で学んだことです。
その方は派遣会社への登録を目指していたのですが、「ブランクを必ず面接で聞かれる」ということで対処の仕方に悩んでいらっしゃいました。
話しを聞いてみると、ブランクになっているという10年間も完全に何もしていなかったわけではないものの、自分でも何をしていたかわからないぐらい細切れで、書類にも書けないんだと。
私もそんな上手い方法あるわけないと思いつつ、ひとまず職務経歴書を作ろうかということになって、一つ一つご経歴についてお話を伺っていきました。
そんな関わりの中で見つけたキーワードは「規則性」でした。規則性って何?と聞いたら、スケジューリングや段取りを組むのが得意なんだと。この方にとってはスケジューリングや計画性ではなく、「規則性」なんだということで。よくよく聞いてみると高校卒業後3年ぐらい本当にハードな中で仕事をして鍛えられたんだそうです。
キーワードを見つけて納得のいく書類が出来て、無事派遣会社に登録できたんです。その後は本当に人が変わったようでした。求人も自分で探し面接で落ちてもまたすぐ次に挑めるようにもなって。気が付くと初めに言っていたブランクを聞かれたときの対処法も全く気にしなくなっていました。その努力が実を結んで無事就職できたんです。
-それは凄いですね。ちょっとしたきっかけから人が目の前で変わっていく様は確かに印象的ですね。先ほど「納まりのいい言葉」を見つけるというお話でしたが、具体的にはどんなプロセスを踏んで見つけていくものなのですか?
その時にもよってですが、時間があれば質問みたいなものを書き出してそれを埋めてきてもらうこともありますし、時間がない時はもういきなり目の前に座ってもらって、過去の経歴をダーっと話してもらってそれをパソコンにひたすら打ち込んでいくんですね。
それでひと通り言葉を洗い出したら、今度はその言葉の中から気になる言葉を一つ一つ深堀りしていきます。例えば「真面目」がキーワードだったら、その根拠とかどれぐらい真面目だと思うかの尺度であったりとかを聞いて、最終的に本人が「あ、これ私だ」と思える言葉になるまでブラッシュアップを続けます。
人間だれしも過去のことは忘れてしまいますし、人から見ると素晴らしい実績でも、「この程度」とかと過小評価をしたりもします。だから私はキャリア支援、特に応募書類の作成支援の中では、「納まりのいい言葉」を見つけることを心がけてプロセスを踏むようにしています。
-確かに自分らしい言葉というか軸が見つかると、それだけで心強くなりそうですね。他にも心がけていることはありますか?
あとは異業種からの転職やブランクのある人には「今の自分で勝負しなくていい」と声を掛けるようにもしています。
今までの経験が生かせないキャリアチェンジでは、どうしても今の自分に自信が持てずに一歩踏み出せなくなってしまいがちです。
だから、今の自分よりもこうなったらいいなと思える自分の未来像を描いてもらって、そこに向かってどう計画を立てて行動していくかを組み立ててもらうんです。
勿論面接で絵に描いた餅だと思われてしまっては意味がないので、それを証明するための資料として、ありとあらゆる物を面接に持ち込んでもらったりもしてました。
-ありとあらゆる物というと?
本当にありとあらゆる物です。例えば資格を取るために勉強をした参考書やノートとか、エクセルのスキルを推したいという人には、A4の1枚のエクセルのデータを作成してもらってそれにそのデータに組み込んだ関数だとか、作成にかかった時間をコメントとして付け足して応募書類と一緒に持たせたこともあります。
例えば何かの資格を持っていたとしても、それを面接官が100%理解しているとは限らないし、限られた時間の面接の中で聞き切れるとも限らない。
だから自分を推す武器の一つとして、面接の中で聞かれた時の対処法と共に資料を持たせることで、短い時間の中でも余すことなく自分をPRしきれる心構えをしてもらっています。
実際に私を信じて色んなものを持ち込んで面接に臨んだ方が、本来合格者が決まっていた面接を、「こいつ面白い」と面接官の目に留まったこともありました。合格するはずだった人を押しのけて通ってしまったこともありました。仕事は口を開けて待っていても勝手にやってくることはありません。だからこそ、そのために何が必要かを自由な発想で考えて、尽くせる努力を尽くす心が前は大切何だと思って支援に当たっています。
-採用面接って言われるとついつい形が決まった中で何かしないといけないような気になってしまいますが、確かに人と同じでは目に留まりませんよね。何かお話を聞いていると岩川さんと関わった人は皆さん面白い人になるような…そんな気さえします。
そうですね(笑)。確かに面白い方に沢山出会ってきたようには思います。製麺機を作る会社に行きたいといきなり会社に乗り込んで言った方もいました。その方も元々「文系大学出身なんですけど機械関係の会社に入れるでしょうか」と言っていたのですが、今は面白い活動を色々としているようです。
それでいうと、私自身イラストレーターから結婚出産とパートでの勤務を経てCADのインストラクター、そして今キャリアコンサルタントと結構変わった経歴を積んできました。
ただ、それも自分の望むキャリアを描くために、頂いたお話にがむしゃらに飛びついて努力を重ねてきた結果出来上がっているものです。
人と同じことをしてたら仕事は掴めないから今何が必要なのか自分で考えて行動することも大切だと思っています。
今思えば、私の師匠も酪農家からSEを経て今カウンセラーやキャリコンとして活躍されているので、知らないうちにキャリアに対するスタンスも影響を受けていたのかもしれませんね。
キャリコンサロン加入のきっかけは代表の塚田さんの魅力とコミュニティの元気さに惹かれて。「心理的安全性」が確保されたサロンの雰囲気にも魅力
-正にご自身の様々な経験に魅力的な先生からの学びも加えてキャリアに悩む人を支える岩川さんの強みを確立されていったんですね。
その岩川さんはどんな経緯でキャリコンサロンに入られたんでしょうか?
去年企業向けのキャリアコンサルティングのサービスを提供している「Kakedas」代表の渋川さんに塚田さんをご紹介頂いたのがきっかけですね。
塚田さんからキャリコンサロンのお話を聞く中で、塚田さんの魅力も勿論ですが、なんかコミュニティが元気そうで楽しそうだし…とりあえず入ってみようかと思って、入会を決めました。
代表自ら営業を掛けて仕事を取ってきたりするコミュニティも今まで出会ったことありませんでしたし、色々な企画もちゃんと継続されていて、ベースがしっかりしたコミュニティですし、もう少しここに関わっていたいな…という気持ちが今は強くなってきています。特に、私の所属しているキャリコンサロン関西支部の雰囲気も本当に良くて居心地いいんですよね。
-具体的にどんなところで居心地の良さを感じられているんですか?
何を言っても受け入れてもらえるような「心理的安全性」が確保されている雰囲気があるところですかね。「心理的安全性」は友人たちと10年ぐらい前から勉強会をやっているぐらい長く興味を持っているテーマなんですが、それを実践しているところがこんなところにあったのかと驚きました。本当に簡単にできることではないと思うので、どうやってこの場を作り上げているのか聞いてみたいぐらいです。
今後の展望はキャリコンサロンの受験者応援コミュニティでの活動と女性支援の拡大。養成講座の三か月間は自分に集中して自分のためだけに使う時間にしてほしいとエール
-キャリコンサロンと大阪支部の雰囲気に価値を感じてくださっているんですね。
そんな岩川さんですが今後キャリコンサロンやご自身の仕事の中で取り組んでいきたいと思っていることはありますか?
サロンメンバーとしてはキャリアコンサルタントの底上げをしたいというのが一番大きなことですね。これに関してはちょうど塚田さんからキャリアコンサルタントの資格取得支援コミュニティ「プレキャリ」の運営委員のお話を頂いたので、まずはこの運営をしっかりやって行きたいです。
資格取得の知識を教える勉強会はいっぱいあるのですが、勉強会というより応援のコミュニティということで、活動を通じて受験生が自分の勉強に集中できるようにしっかりサポートしていきたいと思っています。
あと個人としては、来年4月の女性活躍推進法改正の施行に合わせて企業への行動計画の策定の提案を進めている女性がいます。そのお手伝いをしていて、その提案に合わせて、キャリア面談などのキャリア支援も進めていきたいと話をしています。ひとまず一つお話進めさせていただいている企業さんがあるので、その実績を土台にさらに他の企業にも広げていけたらいいですね。
プレキャリ!| キャリアコンサルタント受験生の応援団 (precareer-salon.com)
-今後も活動の幅がさらに広がっていきそうですね。それでは最後にキャリコンサロンに興味を持たれている方、キャリコンを目指されている方へのメッセージをお願いします。
キャリアコンサルタントを目指している方は大半の方が養成講座を受講されると思うのですが、その養成講座の三か月は本当に自分のために使う時間にしてほしいということです。
キャリアコンサルタントの仕事は、クライアントさんが本当に大切にしたいものを理解して一緒に共同作業で進んでいくものですが、そのためにはキャリアコンサルタント自身の自己理解が何より重要になります。
キャリアコンサルタントも人間ですから、いつも元気でキャリアもクリアに見えているということは必ずしもありません。ただ、養成講座の時間は大人になってからは本当に貴重な自分と向きあうことのできる時間になるので、その時間を生かして、資格を取った後にキャリアコンサルタントとしてのスタートを軽快に切れるように、しっかり学びながら準備を整えて欲しいと思います。
-岩川さんありがとうございました。
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