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【キャリコンインタビュー】甲斐陽子さん

インタビュー

「中学校で、自己理解のワークをベースに授業をやりたい」という一言から始まったプログラム開発。 1人では難しいと感じていたことが、“共通の目的を持ったチーム力の強さ”で完成に至った「JIKOTAN™~ようこそ、自己探求の旅へ~」

 

キャリコンサロン中国支部のメンバーである甲斐陽子さん。現在、広島県内の大学で、キャリアアドバイザーとしてもご活躍中です。2021年6月からは、「JIKOTAN™~ようこそ、自己探求の旅へ~(以下、JIKOTAN™)」(※)のプログラムの開発にも携わっておられます。 今回はそんな甲斐さんに、キャリアコンサルタントになられたきっかけ、リリース間近のJIKOTAN™開発経緯などについてお話を伺いました。

(※)…令和5年度から広島県公立高校入試に新たに追加される「自己表現」科目への対応策として、キャリコンサロン中国支部の有志6名で作成したプログラム。自己受容、キャリア形成、受験対策としての突破力が身に付く、アイスブレーク・ワーク・対話を織り交ぜたプログラムです。

 

「キャリア教育をやりたい」がキャリアコンサルタントの資格を取ろうと思った理由。ご子息が小学生の時に経験した学年崩壊で残った後悔が資格取得の原動力に。
    

-キャリアコンサルタントの資格を取得されたきっかけについて教えていただけますか?

私がキャリアコンサルタントの資格を取ろうと思った理由は、「キャリア教育をやりたい」からだったんです。

今、大学生の息子が小学6年生の時に学年崩壊しました。生徒それぞれに光るものがあったから、生徒たちのエネルギーが自分のためになることや興味などに向いていたらすごくよかったのにな、もったいないなと思いました。
その時は、PTAの役員として、補助教員を増やしたりはできたのですが、彼ら自身に関わることはできなかったんです。何ができるかもその時は分からなかったのですが、「何もできなかった」という後悔が残りました。

-その後、キャリアコンサルタントを取得するきっかけとなる出来事があったのですか?

はい。その後、「何かできることはないかな」と、キャリアの勉強をしたり、講座を受けに行ったりする中で、ある講座の先生から、「陽子さん、キャリアコンサルタントが向いていると思うから、資格をとったら?」と言っていただいて。学年崩壊を経験してから、3年後のことでした。

その頃の私は、人事のお仕事をしていたり、ハローワークに勤めているわけでもなく、キャリアコンサルタントという資格は、全く別の世界の資格という印象でした。ずっと美容のお仕事をしてきたので、思い付きもしなくて。ですが、もしそういう資格があったら、学年崩壊が起こった当時、学校と話したり、生徒と話したりできる機会があったのかもしれないなと思ったんですね。それで、資格を取ることにしました。

 

就職する時に必要な力が何かをリアルに知りたいと思い、大学のキャリアアドバイザーに。学校の教育課程の中でどのような行動や内容が必要か分かると思った。

 

-キャリアコンサルタント資格を取得された後についてお伺いできますか?

はい、「キャリア教育をやりたい」という思いはあったし、中学生たちに将来について話せたらいいなと思ってはいましたが、手段や方法が分からず、すごく漠然としている夢という感じでした。

肩書や経験が必要だと思い、資格取得後、特別支援学校のキャリア教育の授業を担当しました。その後、大学のキャリアセンターで勤務し始めました。また、大学の現場で、就職する時に必要な力が何なのかをリアルに知っておけば、学校の教育課程の中でどのような行動や内容が必要か分かるので、現場を知ろうと思って、大学のキャリアアドバイザーになりました。


-特別支援学校や、大学という現場に入られて、気付かれたこと、感じたことはありましたか?

キャリアコンサルタントという資格は土台の部分にしかすぎなくて、行った先で求められることについては、そこから身に付けなくてはいけないと感じました。

あとは、特別支援学校であれば、障がいの程度によって、できることも違います。けれども、ビジネスマナーなど知っておくことで身を守れることはたくさんあると思います。子どもたちに限らず、大人たちにもスキルは必要だなと感じました。

大学では、高い学力があっても、できていることをできていると認識ができていない学生が多くて。「これが強みになるんですか?」と学生から言われることも多いです。似た属性の人のグループにいると差異が分からなくなる、ということをすごく感じます。

同じ程度の中にいると、自分の優れている点であったり、自分の誠実さであったり、まじめさいうのは、他にもできる人はいるからということで分からなくなってしまうように思います。やっぱり、多様な人とのかかわりや経験とか、行動がいるなというのが分かるし、大学に行く前にもうちょっと理解していると、もっと自信をもって就職活動に臨めるのではないかと思います。

もう少し早めの段階で、公立の小学校・中学校など、本当にいろんな人がいる状態のところで、自分の良さ、他の人のよさを認め合えたり、補い合えたりする経験がもっとできておくといいと思います。また、受け身でずっと勉強していくのに、社会にでるギリギリで「能動的になれ」って言われるんですよね。そうではなくて、興味に対する情報を自分で取りに行くとか、行動して、やってみてだめだったら、失敗しても許される状態、また再挑戦できることがもっと習慣としてあるといいなと思います。

 

自分に対する興味や関心がきちんと持てれば、自分を大切にした上で人に対する興味や関心も持てる。そういったところを認めながら行動していくと、こどもたちは時間をもっと有意義に過ごせると思う。


-「自分の良さ、他の人のよさを認め合えたり、補い合える経験」って大切ですよね。

自分に対する興味や関心がきちんと持てれば、人に対する興味や関心も持てるので、お互いの良さが分かったり、違う部分が分かるから、自分の良さも分かったりすると思います。短所も裏返せば大体長所だったりするので、そういったところを認めながら行動していくと、もっと有意義に時間を過ごせるのかなと思います。

-(自分や人の良さ・興味・関心などに)小学校の時に気付くのと、大学の時に気付くのでは、きっと時間の使い方などが違ってきますよね。

そうだと思います。大学入学までも、貴重な一年、一年だと思います。人との出会いの環境は、小学校で会える人、中学校で会える人、高校で会える人、全部どんどん入れ替わっていきますよね。自分や人の良さを認め合えることで、友好な人間関係というのをずっと続けていけるのではないかと思いますね。

 

-2021年からは県内の大学のインターンシップ関連部署でのお仕事もスタートされていますね。そこで感じたことはありますか?

インターンシップに行くと学生がすごく変わるんです。例えば、学科で習ったことを活かそうとする学生であれば、知識としては知っていても、現場ではまだまだ足りない力がこれだけあるんだということが分かって、インターンシップから帰ってきた後、「漠然とこの研究室に行こうと思っていたんですけど、ここに興味があるから変えたんです」と研究室の選び方が変わったり、自分から地方自治体と大手企業とのイベントに応募したりなど、行動的になる人が多いです。

あとは、アルバイトを全くしたことない学生がインターンシップに行って、社員さんたちの評価は高いわけではなかったのですが、本人の中での変化はすごく大きくて、レポートもきちんと出して、「行ってよかった。自信になった」と言ってくれました。

今、いい子というか、素直で、穏やかで、真面目な学生が多いんです。言われたように、みんなと同じように、受け身で学んできたのだけれども、インターンシップでは、自分で行動しないといけない。他の人を見ながら、今あの人があれをやっているから、自分もこれをやらなきゃなど、学生のものの見え方が変わったりしますね。

だから、社会人基礎力の中でも座学では伸びないところが伸びます。「状況把握力」、「主体性」、「課題解決力」など、現場での人との関わり、企業や業界を通じて、「中の人」として働く力が伸びますね。

 

 

中国支部の交流会で「中学校で自己理解のワークをベースに授業をやりたい」と言ったことが転機に。有志とともにJIKOTAN™プログラム開発がスタート。

 

-ここからは、JIKOTAN™というプログラムの開発経緯についてお伺いさせてください。

はい、昨年6月にキャリコンサロン中国支部の交流会があって、その時に、私が「母校の小学校で、いろんな職業の人たちを集めて、生徒が職業人たちと会話するというキャリア教育をしている」という話をしました。また、「今度、県立高校の入試も変わるし、職業体験にも活かせるし、高校受験の対策にもなるから、本当は中学校で、自己理解のワークをベースにして授業をやりたいんです!」とお伝えしました。すると、その時交流会に参加していた方が、「それ、すごくいいですね、プログラムを作ってみましょう」と言ってくれたんです。


-昨年6月の交流会からJIKOTAN™の開発が始まったのですね。甲斐さんは、どの位前から、中学校で自己理解のワークをベースにした授業がやりたいと考えておられたんですか?

はい、数年前から考えていて、キャリコンサロン中国支部でお話する前の2020年の冬頃には、地元の市議会議員さんや、地元出身の国会議員さんに、資料を持参して、プレゼンしたこともあったんです。でも、それは提案でしかなかったんですね。話を聞いてくださった議員さんから「それはすごくいいと思う。だけど、市教委がやりたいと言ったら、誰に頼めばいいの?」と聞かれて。「そうですね…」としか返せず、その時は、「今、1人でやるのは難しいな」と感じました。

 

昨年9月にデモ実施した1回目の講座では、多くの課題が。その後、約5ヶ月かけて、プログラムの内容、構成などを大幅修正。学生たちが自分でしっかりと取り組めるプラグラムに。

 

-そうだったんですね。「プログラムを作ってみましょう」という話になってから、JIKOTAN™のプログラム開発はどのように進んでいったのでしょうか?

中国支部の有志の皆さんと打ち合わせを重ねながら、「実際やってみよう!」とワークを修正して、昨年9月に県内の塾にもご協力いただき、1回目の講座をデモ実施しました。

1回目の講座では、多くの課題が見つかりました。大人の経験値を持った言葉の読み解き方や表出してくることは、中学生に対してはもっとわかりやすい言葉で表す必要があること、このプログラムの目的を分かりやすく説明したり、表現のしやすい場を設定したりすることが必要だと感じて、プログラムの内容を練り直すことにしました。

プログラムの構成も、最初にアイスブレイクを入れたり、対話の数を増やしたり、JIKOTAN™ MAPへの入り方など、1回目の講座のものから、大幅にやり直しました。

約5ヶ月かけて練り上げ、修正したプログラムで、2月にオンライン、3月に対面形式でデモ実施を行いました。どちらも参加した学生たちが自分でしっかりと考えて取り組んでいて、手応えとして、いいプログラムができたのではないかなと思っています。

 

JIKOTAN™開発を通して感じた「共通の目的を持ったチーム力の強さ」。「キャリアコンサルタントのチームの強さ」のおかげで1人では無理だと思っていたプログラムが完成した。

 

-昨年6月から約10か月、これまでのプログラム開発を振り返られていかがでしょうか?

JIKOTAN™のプログラム内容自体も、絶対1人では思い浮かばなかったし、自分の苦手なところを他の人がやってくれるし、みなさん、得意なところが違うので、前への突破力がすごく高いなと思ったんですよね。

先日の打ち合わせでも、そのことをすごく感じました。実は、あの日すごく疲れていたんです。大学で、履歴書のガイダンスを3回やって、打ち合わせ中、みんなと話していても、頭がちょっと回っていないという感じでした。

そんな中、みなさんがすごくポジティブで、「そこのところやりますよ」と言ってくれたりとか、みなさんの姿を見ていて、じーんとして、ちょっと感動していました。

「共通の目的を持ったチーム力の強さ」を感じました。チームの中の誰かがなんだか不調な時もあると思うんです。でも、その日ちょっと元気な人がいて、そういう人が前に進めてくれているので、具体的な進み方だけでなくて、モチベーションの維持につながるなと思いました。

 

-「共通の目的を持ったチーム力の強さ」を感じられたんですね。

はい。そして、その時、アフリカのあることわざを思い出したんです。

岸田首相の所信表明演説やアル・ゴア元米副大統領がノーベル平和賞授賞式典の演説で引用されていた
「早く行きたければ一人で行け、遠くへ行きたければみんなで行け」
(If you want to go fast, go alone. If you want to go far, go together.)
ということわざです。

JIKOTAN™は、「一人では無理だな、いいなと思っていてもなかなかできないな」と思っていたことが、みんなの力で、どんどん形になり、私の想像以上のプログラムになりました。それは、本当はすごいことだなと思っています。「キャリアコンサルタントのチームの強さ」のおかげなのではないかな、と思っています。

 

JIKOTAN™が広まり、学校や塾で活用してほしい。また、JIKOTAN™をきっかけに、キャリア教育の大切さが少しでも理解されたらいいなと思う。

 

-正式リリースが近づいているJIKOTAN™ですが、これからどのような風にしていきたいですか?

JIKOTAN™自体が広まったらいいですし、学校や塾で活用されたらいいなと思うんですけど、こういうことをやっている人がいるという宣伝も大事だと思っています。先生ではない人が学校に入っていくことや、キャリア教育に関心を持つ一つの発信であったり、JIKOTAN™のコンテンツもすごくいいのですが、それ以外のところにも影響があるといいなと思います。

-それ以外のところというと?

学校に入っていくハードルを下げることであったり、キャリア教育という、目に見えるものでもないし、数値化されたり、偏差値化されたりすることでもないんですけど、キャリア教育の大切さが少しでも理解されたり。「(キャリア教育を)大事だよね」って思っている人は多いと思うんですよね。

-キャリア教育の大切さは浸透していないと感じておられますか?

差があるんじゃないかなと思っています。塾やキャリア教育に関わってくださった方は、体感として、「私もこどもの頃やっておきたかった」と言うお声を聞きます。

学力を上げるため、点数をあげるためも大事だけれども、やっぱり勉強と同時に、それ(キャリア教育)が進むと、相乗効果というか、何のために勉強するのか、大人になっても勉強って大事だね、大学までじゃないねということとかが分かりますよね。大人も理解しないといけないし、子どものためだけじゃないところまで、どんどん広がっていくといいなって思っています。

先日も、市民講座で大人向けにキャリアデザインの講座をやったのですが、「こういうことを考える機会がなかった」、「また定期的にやってほしい」という声もすごく多かったです。

「内省をしながら対話をして、これからの行動計画を立てる」という点では、JIKOTAN™プログラムも大人のキャリアデザイン講座と同じです。JIKOTAN™はこどもだけでなく、こどもたちを支えていく大人にとっても大切な内容が含まれていると思います。

 

-JIKOTAN™の今後の展開が楽しみです。いろんな展開ができそうですね。

そうですね。例えば、JIKOTAN™の授業をやっておいて、その後に、毎月30分、いろんな職業の人が話に来るとか。いろいろな職業の人のお話を聞く際にも、聞く姿勢の段階で、自分事化になっているかどうかは重要だと思います。JIKOTAN™は自分事化させるプログラムです。JIKOTAN™の授業を受けた後だと、自分の興味を持った分野だったり、強みや価値観にちょっと関わるとか、アンテナをはった状態になるので、より中学生のキャリア形成に効果があると思います。

 

-甲斐さん、インタビューにご協力いただき、ありがとうございました!「未来に夢を持ち、今を楽しく生きるサポートをする」が働く目的という甲斐さん。キャリア教育で関わっておられる学生さんのお話を熱く楽しそうにされている姿も印象的でした。JIKOTAN™のリリース、今後の展開が楽しみです。

関連記事:広島県公立高校入試対策「JIKOTAN™ ~ようこそ、自己探求の旅へ~」活動報告/HRラボ株式会社

 


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