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【ふくしま復興・応援プロジェクト】震災の経験とキャリコンネットワークの広がり

インタビュー

キャリコンサロンでは、同じ思いを持ったサロンメンバーが集まって、たくさんのプロジェクトを動かしています。今回紹介させていただく「ふくしま復興・応援プロジェクト」もそのひとつです。

このプロジェクトは、東日本大震災の復興支援を目的として「私たちができることで福島を支援しよう」と声が上がって、2023年夏に十数名のメンバーが集まりました。これまで何度もディスカッションを重ねて、2024年から具体的なアクションがはじまっていきます。

今回のインタビュー企画も、そのアクションのひとつです。

キャリコンサロンには、震災によって日常に大きな影響を受けて、現在に至っているメンバーも在籍しています。震災当時に何があったのか、何を感じていたのか、そして今思っていることを、3人のキャリコンサロンメンバーにインタビューしました。改めて震災について、そしてキャリアについて考え直すきっかけにしていただけると幸いです。

 

第1回は、プロジェクトの中核を担っている渥美敬之さんにお話を伺いました。

渥美さんは東日本大震災を千葉県で経験し、ご家族を取り巻く環境や生活が一変しました。キャリアコンサルタントの資格を取得したことがきっかけで、ご自身のキャリア形成についても考え方の変化があり、福島復興のプロジェクトに参加しています。

 

「渥美さんの自己紹介をお願いします」

今年、63歳になりました。生まれから大学までは北海道に在住、その後東京で就職しました。1社目はリクルートの営業担当として18年在籍。2社目がITベンチャー、3社目が現在勤めているデジタルマーケティングの会社です。

私が福島と関わることになったのは、福島第一原発事故の影響を、当時住んでいた千葉県流山で体験したことがきっかけでした。2005年に千葉県流山に、戸建てを買って住むことになりました。2009年に子どもが生まれ、2歳になったタイミングで、東日本大震災、福島第一原発事故が起きます。

その結果、流山地区はホットスポット(局所的に放射線量が高い場所)になりました。家の前の舗装道路の線量を測ると、立ち入り禁止区域の制限レベルを超えた数値になっており、0.36マイクロシーベルト、場所によっては、0.4以上になっていました。山沿いで雨水が集まってくるところだと、7.0に達しました。それまでの平和な日常から一転、見えない危険が迫っていることを実感しました。

その場所に住み続けるのは難しいと判断し、1年後に現在の住まいに引っ越すことになります。

 

「震災の影響を受けた立場から、支援する側に至った経緯を教えてください」

当時、子どもは保育園に通っていたので、保育園のママさんとの関係性が変化しました。「あなたはどうするの?」と気軽に聞くことができない雰囲気です。

転居するご家族に対して「逃げちゃうんだ…私たちは逃げられないのに…」と考えるご家族があったり、センシティブなやりとりをしなければならない時期が続きました。例えば子育てに関しても、子どもを園庭で遊ばせることについて、すごく敏感になってしまう母親もいれば、「そんなに気にしなきゃいけないことなの?」といった考え方もあり、そこでまた軋轢が起きました。

こういった周辺環境の変化が起きているなか、私たち家族は2012年に転居を決断しました。

震災があった福島に対しては何もできず、「義援金を送るどころじゃない」といった状態、自分たちのことで精一杯でした。そのまま現在に至っています。

2023年に、キャリコンサロン内で福島復興を支援するプロジェクトが立ち上がりました。振り返ってみると、私は60歳までは仕事と家庭が中心で、それ以外の社会活動は一切行ってきませんでした。福島復興のような社会活動に興味を持ちはじめたタイミングもあって「今からでも何かできるのであれば」と考え、プロジェクトに参加しました。

 

「社会活動に興味を持つようになった経緯をお聞かせください」

キャリアコンサルタントの資格を取得する過程で、様々なキャリア理論を学びました。

そのなかでも大きな影響を受けたものとして、ポートフォリオワーカーという考え方があります。人生において、4つのワークを柔軟に組み合わせることで、より幸せになれる考え方です。

4つのワークというのが、【家庭】【有給ワーク】【学習・趣味】【地域】です。

ポートフォリオワーカーという言葉を学んだのは、50歳を過ぎたタイミングで、「自分に当てはめてみたら、これからどうすればいいんだろう」と考えるきっかけになりました。

【家庭】と【有給ワーク】が生活の中心であり、それらの合間で【学習・趣味】にも時間を使ってきました。その一方で、ボランティアや社会活動には時間を使ってこなかったので、「そろそろ何かやらないとな」と考えるようになります。

65歳で会社生活の一区切りを迎える前に、人生の在り方をシフトしていかなきゃいけないという思いが芽生えて、その一環としてキャリアコンサルタントの資格を取得しました。

その後、キャリコンサロンに入会して、より幅広いネットワークが生まれました。そのネットワークのひとつが「ふくしま復興・応援プロジェクト」です。こうして【地域】にも関心を持つことで、それまで関わりがなかった世界に足を踏み入れることになりました。

 

「ふくしま復興・応援プロジェクトに参加してみて、どう感じていますか?」

ふくしま復興・応援プロジェクトは、2023年7月に「まずは一度『日本橋ふくしま館MIDETTE』で集まりましょう」と、プロジェクトメンバーが集まりました。

それから活動を続けるうちに、キャリコンサロン以外にもネットワークが広がっていき、2024年6月30日に現地福島で開催される「おだかつながる市」に参画する機会が生まれました。

このプロジェクトを通じて新しい挑戦をすることで、また新しいネットワークが生まれています。

ポートフォリオワーカーの話に戻りますが

「より長い時間を生きていかなきゃいけない現代人は、ポートフォリオワーカーになることで、より幸せになる」という言葉があります。

福島復興を応援したい気持ちで動き出していますが、同時に私自身の幸せにも繋がっていると実感します。

 

「福島復興も、渥美さんにとっての大きな経験になりそうですね?」

福島復興は私にとって、大切なキャリアのひとつになると考えています。これまで得てきた経験やスキル、ネットワークの相乗効果を起こすことで、「私たちにしかできない支援」ができると考えています。

1社目で勤めたリクルートの先輩で、藤原和博さんという方がいらっしゃいます。八ヶ岳連峰型のキャリア形成という考え方を書籍や講演を通じて解説しています。

内容を端的に表現すると、ひと昔前のキャリア形成はピークが1回だけの富士山型でした。

これに対して、八ヶ岳連峰型は、キャリアの山が同時に3つ重なるような、連なるような考え方です。3つの山が連なっている状態を、キャリアの掛け算と表現しています。

例えば、営業で1万時間経験を積んでプロになる。これは言い換えると「100人に1人の人材」になります。

そして、営業とは別な分野で1万時間の経験を積めば、2つの分野でプロになります。そうすると「100人に1人」と「100人に1人」を掛け算して、「1万人に1人の人材」になります。

さらに、もう1つのプロになると「100人に1人」を3つ掛け算することによって「100万人に1人の人材」となります。ここまで達すると、唯一無二の人材、誰にも真似できない人材になると、藤原さんが解説しています。

福島復興のプロジェクトに参加することで、私のキャリアにおいて新しい山がまたひとつ出来上がってきていると感じます。

福島に対しては「ふくしま復興・応援プロジェクト」に参加するまで、何もできずに現在に至りました。その思いを抱えて、プロジェクトに参加しています。プロジェクトメンバーのキャリア、そして福島を掛け算をすることで、「私たちらしい、私たちにしかできない」福島復興が実現できると考えています。

 

インタビュー:
キャリコンサロン「ふくしま復興・応援プロジェクト」メンバー
・鈴木美智子/東京都/経歴:飲食業、組織人事コンサル、フリーランスで研修やキャリア教育に従事
・大久保弘二/神奈川県/経歴:総合ITベンダーにてHR領域で30年以上従事

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