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セルフケアの具体例と企業でのメンタルヘルス教育の重要性

人事キャリアコンサルタント

主流な働き方の一つとなった、在宅勤務。
在宅で仕事をする際、自分自身でメンタルヘルスをケアする「セルフケア(self-care)」が、より重要な時代となってきました。

今回は、個人がストレスと上手に付き合うために必要な、セルフケアのポイントについて詳しく紹介します。
さらに、企業が従業員のセルフケアをサポートする重要性についても、ぜひ理解しておきましょう。

 

セルフケアとは?

セルフケアとは、個人が自身の健康のために行う、メンタルヘルス対策のことです。厚生労働省が発表している、『事業場における労働者の心の健康づくりのための指針』に定められた「4つのケア」のうちの一つとしても、セルフケアは挙げられています。ストレス反応が起こった際、人は身体面・精神面・行動面に変化が起こる場合が少なくありません。食欲不振や全身のだるさ・無気力感・仕事におけるミスの増加など、反応はさまざまです。
どのような症状が起こるかを把握した上で、「普段の自分と違うこと」に気付き、自身でメンタルヘルス対策を行っていく。この一連の流れがセルフケアであり、日常的に行うことで、ストレス反応が強くなりすぎる前に、メンタルヘルスの不調を解消していくことが可能になるのです。

 

ストレスと上手に付き合うためのセルフケア

仕事や人間関係・生活環境・家庭・地域など、ストレスの要因は多岐にわたります。全てを避けて生活することは、非常に困難です。そのため、ストレスがかかることを前提として、ストレスと上手に付き合う方法を探っていくことが大切になってきます。
ストレスは、緩和することを意識的に行わなければ、次第に悪化してしまう危険性が少なくありません。悪化を阻止するには、こまめに対処をしていくことが効果的であり、それを可能にするのがセルフケアなのです。セルフケアは、手軽に短時間で行えるものも多く、日常生活に簡単に取り入れることができます。自身の心身の健康を守るために、セルフケアを頻繁に取り入れることを意識しましょう。

 

職場・日常でできるセルフケアの具体的方法

セルフケアの方法は複数ありますが、性格や好みによって、合う・合わないが出てきます。また、状況によっても、全てのセルフケアの方法がいつでも実践できるとは限りません。そのため、多くのセルフケアの方法を知っておくことで、さまざまなや状況下でも、ストレス対策ができるようになるのです。そこで、職場と日常でできる、セルフケアの具体例をいくつか紹介します。

 

職場でできるセルフケア

・呼吸を整える
方法は、自分の呼吸に集中して、ゆっくりと深呼吸を数回繰り返すだけです。呼吸を整えることで、十分な酸素が脳に供給されるようになり、リラックス効果や脳疲労を回復させる効果が得られます。職場の自分の席でも、短時間で手軽に行える方法です。

・ストレッチや軽い運動を行う
長時間同じ姿勢を続けると、血行が悪くなったり、筋肉に疲労がたまってしまいます。そのため、体をひねる動作や伸びを行って、筋肉の緊張を緩めることが効果的です。休憩時間等にデスク周りを少し歩くだけでも、血行が促進され、十分な効果が得られます。

・コミュニケーションを図る
挨拶や会話をすることも、効果的なセルフケアの方法です。人とつながりを感じることは、不安な気持ちを減少させる効果があります。また、コミュニケーションを取ることで、思考を整理することにも役立つため、仕事においてもプラスに働くことが少なくありません。

 

日常でできるセルフケア

・快適な睡眠を取る
人によって、快適と感じる睡眠時間には、個人差があります。大切なのは、睡眠によって十分に疲れが取れ、起きた時に気持ちがいいと感じらるかどうかです。寝る前にはカフェインを控えたり、スマホやテレビの画面を見ないようにすることで、深い眠りにつきやすくなり、睡眠効率を上げることができます。

・仕事から離れた活動をする
仕事から離れて、自分の好きな趣味や活動をすることは大切です。好きなことにチャレンジしたり、仕事と関係のない人と交流をすると、気持ちを高める効果があります。自然の中や旅行で新しいところに行ってみることも、リフレッシュには効果的です。

・積極的に笑う時間を作る
笑うことには、血糖値の上昇抑制・免疫力の正常化・自律神経を整えるなど、いろいろな効果があります。親しい友人や知人と笑いが生まれるような、楽しい時間を過ごすことも良いでしょう。

 

企業におけるセルフケア教育の重要性

セルフケアは、企業でのメンタルヘルス対策の中では、比較的軽視されがちです。しかし、従業員が自身のメンタルの不調にいち早く気付き、セルフケアを行うメリットは、本人だけにとどまりません。会社にとっても、セルフケアによるメンタル不調の早期発見・早期対応は、従業員のストレス悪化による離職や休職を防ぎ、貴重な人材を守ることにつながります。

加えて、現在は、在宅勤務やテレワークも、主流な働き方の一つに加わりました。職場で働かないケースが主流化したことによって、同じ現場の上司や企業内産業医といった周囲の人が、従業員のメンタルの不調に気づける環境でなくなる事態に。そのため、従業員それぞれで、メンタルヘルス対策をする重要性が高まってきているのです。

 

セルフケア教育に必要な項目

企業におけるセルフケア教育では、セルフケアの重要性をはじめ、ストレスの要因や反応といった、メンタルヘルスについての基礎知識の提供が必要になります。セルフケアの具体的な実践方法や、メンタルヘルス不調になってしまった時の、相談窓口の紹介も重要です。
セルフケア教育の導入に迷った時は、「働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト『こころの耳』」のセルフケアについてのe-ラーニングを活用することができます。
(出展:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト『こころの耳』「e-ラーニングで学ぶ「15分でわかるセルフケア」」https://kokoro.mhlw.go.jp/e-learning/selfcare/

また、自分のストレス状態を客観視する習慣をつけることも、セルフケア教育において重要です。そのために、厚生労働省が提供している「ストレスチェックシート」を活用してみるのも良いでしょう。



(出展:厚生労働省版ストレスチェック実施プログラム「職業性ストレス簡易調査票 (57項目)」https://stresscheck.mhlw.go.jp/material.html

 

まとめ

セルフケアは、個人で行うメンタルヘルスの対策方法ですが、企業にとっても有益です。現在の多様化する働き方の中では、従業員のメンタルの不調に、上司や周りの人が気付きにくくなってしまう可能性が示唆されています。そのような中で、人材の確保と従業員のメンタルヘルスを守るには、セルフケアが必要不可欠であると言っても過言ではありません。
また、メンタルヘルス不調は、誰にでも起こり得ます。いつ、誰に不調が現れるか分からないからこそ、企業全体で取り組むことが大切です。ストレスは容易に避けられないからこそ、セルフケア教育を充実させ、確実なメンタルヘルス対策に取り組みましょう。

 


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