各省庁では、子育て支援・女性活躍支援・若者の採用や育成等の積極化・労働安全衛生の改善などの活動について、積極的な企業を認定する仕組みを設けています。認定されることで、認定マークの活用が可能となります。この認定マークの活用の側面としては、企業価値アップへの貢献が期待されています。
しかし、なぜ、認定マークが企業価値の向上に貢献するのでしょうか。今回は、認定マークを得ることによって、企業価値が向上する仕組みを解説していきます。加えて、現在どのような認定マークがあるのか、キャリアコンサルタントの学習でもよく取り上げられる、代表的な5つの認定制度についてもご紹介をいたします。
目次
認定マークが企業価値向上に貢献する仕組みとは?
そもそも、企業価値を上げるためには、サービスや製品等の品質を上げるだけではなく、企業自体のブランド構築(ブランディング)も必要です。企業のブランディングとは、企業全体に対する、株主・従業員・取引先・社会全体からのイメージを指します。
企業イメージの向上のために、認定マークが効果を発揮する場面は多くなっています。各省庁の認定制度を利用し、認定マークを取得することは、一定の認定基準をクリアした優良企業であることを視覚的にアピールする要素となっているからです。
また、認定マークの認定基準をクリアするために、働く環境の改善・労働時間の変更・待遇や採用基準の見直しなどを行う企業も少なくありません。これにより、安全や健康確保による生産性の向上や、社員の働く意欲の向上につながります。
さらに、認定マークの多くは、商品や広告に添付することが可能です。認定基準をクリアしている企業ということが、認定マーク1つで、求職者・取引先・社会全体へ簡単にアピールできます。認定制度によっては、認定されている企業のみが参加できる就職説明会や、総合求人サイトの利用など、人材確保の面でも企業価値を向上させることが可能になるのです。
認定マーク①|くるみん・プラチナくるみん
くるみん・プラチナくるみん認定マークは、『子育てサポート企業』として、厚生労働大臣に認定されると取得することができます。認定には、次世代育成支援対策推進法に基づき、労働者の仕事と子育ての両立を図るための、一般事業主行動計画を策定しなければいけません。一般事業主行動計画を策定した企業のうち、計画に定めた目標を達成し、一定の基準を満たした企業は、申請を行うことによって厚生労働大臣の「くるみん認定」を受けることができます。
「プラチナくるみん認定」は、くるみん認定を既に受けている企業が、さらに高い水準の取り組みを行い、一定の用件を満たすことで、申請可能になる認定です。仕事と子育ての両立支援制度の導入や利用が進み、企業の高い水準で取り組みを行っていることを評価しつつ、継続的な取り組みを促進することで認定となります。
くるみん認定を受けると「くるみんマーク」、プラチナくるみん認定を受けると「プラチナくるみんマーク」を商品・広告・求人広告に表示することが可能です。子育てサポート企業であることのアピールができ、企業イメージのアップや優秀な人材の採用・定着に期待できます。
(画像出典:厚生労働省「くるみんマーク・プラチナくるみんマークについて」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kodomo/shokuba_kosodate/kurumin/index.html)
認定マーク②|えるぼし
えるぼしは、女性活躍推進法(女性の職業生活における活躍の推進に関する法律)に基づき、女性の活躍に関する状況などが優良な企業を厚生労働大臣が認定する制度のことです。えるぼしには、「採用」「継続就業」「労働時間等の働き方」「管理職比率」「多彩なキャリアコース」の5つの評価項目があります。基準を満たしている項目数に応じて、取得できる認定の段階が決まる点が、えるぼしの特徴です。
3段階のえるぼし認定に加えて、令和2年6月1日からは、プラチナえるぼしの認定も開始されました。認定を受けた企業は、認定マークを商品や広告・名刺・求人票等に利用できるので、女性活躍推進企業であることを幅広くアピールすることができます。
また、認定を受けるために企業が取り組みを行うことで、労働者の意欲向上や、生産性の向上にも有効です。これにより、企業イメージの向上や、優秀な人材の確保の期待ができます。
(画像出典:厚生労働省「女性活躍推進企業認定「えるぼし」認定」https://shokuba.mhlw.go.jp/published/special_02.htm)
認定マーク③|ユースエール
ユースエールとは、若者雇用促進法に基づき、若者の採用・育成に積極的で、若者の雇用管理の状況などが優良な中小企業を対象として、厚生労働大臣が認定するものです。認定されることで、ハローワーク等で重点的にPRできたり、ユースエール認定企業限定の就職面接会の参加などができるようになるなどのメリットがあります。求職中の若者と企業のマッチング向上と、人材のより円滑な採用が可能になるのです。
(画像出典:厚生労働省「ユースエール認定制度」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000100266.html)
認定マーク④|安全衛生優良企業(ホワイトマーク)
安全衛生優良企業とは、労働者の安全や健康を確保するための、幅広い分野にわたる対策に積極的に取り組み、厚生労働省から認定を受けた企業のことです。また、高い安全衛生水準を維持・改善していることも認定には必要になります。
認定期間は3年間です。その間は、安全衛生優良企業マーク(ホワイトマーク)の使用ができ、取引先や消費者・求職者へ、健康で安全な働きやすい企業であることを大きくアピールできます。さらに、安全衛生優良企業に認定されることで、企業安全衛生水準の取り組みのレベルを社員に示すことも可能です。企業イメージの向上や、働く意欲や生産性の向上にもつながります。
(画像出典:厚生労働省「安全衛生優良企業公表制度について」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000075611.html)
認定マーク⑤|なでしこ銘柄
なでしこ銘柄は、経済産業省が東京証券取引所と共同で、女性活躍推進に優れた上場企業を業種ごとに選定しているものです。「中長期の企業価値向上」を重視する投資家に対して、女性活躍推進に優れた上場企業をなでしこ銘柄として紹介することで、投資家の企業への関心を高めるが可能に。その結果、経済的な側面において、各社の取り組みを加速させ、企業の競争力を強化させることにつながると期待されている認定制度です。
選定において、女性活躍推進に優れた企業をより幅広い視点で評価するために、なでしこ銘柄意外にも「準なでしこ」の選定もあります。また、女性活躍推進に積極的に取り組み、なでしこ銘柄の認定を目指している企業であることを「なでしこチャレンジ企業」として、アピールすることも可能です。
(画像出典:経済産業省「女性活躍に優れた上場企業を選定「なでしこ銘柄」」https://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/diversity/nadeshiko.html)
まとめ
認定マークは、企業価値を高めるために必要な企業イメージの向上に大いに貢献します。しかし、認定マークは、手当たり次第、取得すれば良いというものではありません。効果的に企業価値を向上させるためには、企業理念やブランディングの方向性に合わせて、取得する認定マークを選択する必要があります。各企業は、どの方面でブランディングしていくと良いか、経営と確認をしながら、取得する認定マークを戦略的に考えていくといいでしょう。
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