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導入企業増加中!「リファラル採用」に成功するための秘訣

採用人事

ここ数年、「リファラル採用」という採用手法が注目されています。人事やキャリアに関わっている方であれば一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?

今回は「聞いたことはあるが細かいことは分かっていない」「新しい採用手段として導入を検討してみたい」という方に向けて、リファラル採用について、概要やメリット・デメリット、実施する際のポイントなどをお伝えしたいと思います。

 

リファラル採用とは


「リファラル(referral)」とは英語で紹介や推薦という意味です。つまりリファラル採用とは、企業の採用活動において、社員に求人要件に合致する友人・知人を紹介・推薦してもらい、選考を行う採用手法の事を言います。

日本企業ではこれまでも社員の紹介による「縁故採用」は行われていました。

但し、一部の幹部社員や重要取引先からの依頼で親族などを仕方なく採用する、少数の「コネ入社」と結びついて、ネガティブな印象を持たれていました。

一方アメリカ企業では社員の紹介による「リファラル採用」は一般的な採用手法で、採用全体において、採用者数が最も多い採用経路になっています。
アメリカの大手企業(従業員数1500~1 万人規模)36 社が参加した調査(2012年CareerXroads社 米国企業の採用担当者を対象とした採用経路調査)では,リファラルは社外採用全体の28.0%を占め、過去 10 年間この割合はほとんど変わっていないという結果になりました。
(出典:リクルートワークス研究所「米国の社員リファラル採用のしくみ」)

日本でも徐々に注目されてきており、2017年の調査では62%の企業が中途採用においてリファラル採用を実施したと答えています。
(出典:「エン 人事のミカタ」のアンケート調査「リファラル(社員紹介)採用について」)

 

注目されている背景


では、なぜ注目度が高まっているのでしょうか。

まず人材不足によって企業の採用競争が激化していることが挙げられます。
労働力人口の推移を見てみると2000年に6766万人であった労働力人口は、2017年には6556万人に減少しています。

さらに労働力人口は2030年には6180万人にまで減少すると予想されており、今後も企業の人材不足は続いていくと予測されます。

このような環境下で2019年現在、多くの業種・職種で採用は売り手市場となっており、従来の求人募集だけでは、自社のニーズを満たす人材を十分に確保することが難しくなっているのです。

もう一つの理由として、人材の流動性が高まったことも挙げられるでしょう。
終身雇用の慣習が崩れて転職が一般的になりつつある現在、採用した社員でも企業文化に馴染めないなどの理由で早期に離職してしまう可能性も高まっています。

そのような中で、人材の定着のために、採用におけるマッチングの強化が課題となってきているのです。

社員からの紹介であれば、事前に応募者のスキルや適性を把握しやすく、企業文化についても伝えやすいため、マッチングの強化が期待できます。

 

リファラル採用導入のメリット


では導入した場合のメリットを見てみましょう。

①エンゲージメントの向上


前述の通り、リファラル採用は企業文化を熟知した自社の社員が、求める人材要件に見合った友人・知人に声をかけるシステムです。つまり企業文化を理解し、そこにある課題やその中で自身に求められる役割を理解した上で入社することが期待できます。
このような社員であれば、入社後に社員と企業が価値観を共有して高め合う関係性、つまりエンゲージメントが高い状態を生み出しやすくなります。
エンゲージメントが高い状態であれば、早期の活躍を期待できるとともに、離職の可能性も低くすることができます。

 

②採用にかかるコストを抑えることができる


採用活動では様々なコストがかかりますが、その中でも大きな割合を占めるのは公募する際の求人媒体への掲載費(広告費)や人材紹介会社(エージェント)への紹介料・手数料でしょう。
リファラル採用ではこれらのコストが発生しません。紹介してくれた社員へインセンティブを用意する場合であっても(インセンティブについては後述します)、大幅にコストを減らすことにつながります。

 

③就職・転職市場で接触できない人材と出会える可能性がある


通常、企業の採用活動においては求職者、つまり就職や転職の希望をもつ人材としか接触することができません。
しかしリファラル採用の場合には、明確に就職・転職を考えていない潜在的な候補者にもアプローチすることができるため、通常の採用活動で接触することが難しい人材を確保できる可能性を持っています。

 

リファラル採用導入のデメリット


次にデメリットについても見ていきます。

 

①人材の多様性が損なわれる


一般的に、人は自分と似たような人間と繋がりを持ち、行動を共にしがちです。つまり社員の友人・知人から紹介される人材は、既存の社員と同質の社員である可能性が高くなります。

そのため、リファラル採用の比率が高まると、社員の同質化に繋がります。
社員の同質化は組織としての一体感を高めるという側面はありますが、雰囲気が硬直化したり、イノベーションが起きにくくなったりする側面もあります。

社内に様々なタイプの人材が集まり、その多様性を背景に、多角的な視点やイノベーションの可能性を確保することが、中長期的な視点では企業の競争力に繋がりますので、注意したいポイントです。

 

②紹介者と応募者(被紹介者)の人間関係に注意が必要


社員から紹介された人材が必ず採用されるとは限りません。不採用になった場合には応募者だけでなく紹介してくれた社員への気配りが必要となります。

採用に至った場合でも、紹介者と被紹介者の人間関係には注意が必要です。
例えば紹介者と被紹介者が職場で繋がり出すことで、しがらみが生まれる、派閥が作られるなど、他の社員に影響を与えることがあります。
また、紹介者が退職した場合に被紹介者のモチベーションに影響を与える、両者の関係性が悪化した場合にどちらかの退職リスクが高まる、などの可能性もあります。

リファラル採用は人間関係を背景にした採用であるがゆえに、採用後もその人間関係に影響を受ける可能性があるのです。

 

③社員の理解不足・説明不足によってミスマッチが生じる


人事やキャリアに携わっている方は見落としがちですが、普段人事の仕事をしていない社員にとって、求めるスキルや人材適性を正確に理解して伝えることは実は難しいことです。

理解や伝え方が間違っていると、企業としてのアピール力が弱くなることはもちろん、「紹介者から事前に聞いた話と、人事からの話が違った」というミスマッチにつながる可能性もあります。
その場合は、紹介してくれた社員と人事の関係悪化につながる可能性も考えられるので注意が必要です。

 

リファラル採用を行う際のポイント


では実際に導入するためには何をすれば良いのでしょうか?
制度として導入する際に考えておきたいポイントをご紹介します。

 

情報発信と専用窓口の設定


社員には積極的に情報発信を行い、社員の理解度を向上させる必要があります。
募集する職種などの募集要件はもちろん、募集の背景や募集部署の様子、なども理解しておいてもらう必要があります。
さらに求人の充足状況や応募者数などの採用進捗情報を都度公開すると共に、不明点を気軽に問い合わせられる窓口を設けるなど、人事と社員の理解に差が生まれない工夫が必要です。

全くリファラル採用を行ったことがない会社では、一度社員向けの説明会などを実施して理解を深めてもらうのも良いでしょう。リファラル採用の認知向上によって紹介数の増加が期待できるだけでなく、「縁故入社」に対してネガティブな印象を持っている社員が正しく理解することにも繋がります。

なお社員へ情報を発信する上で、伝えるべき情報と伝えるべきでない情報(人事から直接応募者に伝えるべき情報)については、事前に精査しておくべきです。例えば給与・賞与額などの処遇や、募集背景に人事戦略や企業戦略上の機密情報が含まれる場合は注意が必要です。

 

インセンティブを設定する


紹介した社員にインセンティブを用意すると紹介の動機付けに繋がります。
中途採用でリファラル採用を行った日本企業のうち、48%がインセンティブを用意しており、金額は数万円〜50万円となっています
(出典:「エン 人事のミカタ」のアンケート調査「リファラル(社員紹介)採用について」)

なお、インセンティブは必ずしも社員個人に対するお金の支給とは限りません。むしろお金の場合は、紹介する友人・知人や他の社員の目を気にして紹介のハードルが上がったり、短期的な金銭にのみ注目されたりというデメリットも考えられます。

インセンティブを考える際に重要なことは、「どの指標に対して、誰に、何を与えると制度が活性化するか」という点です。例えば以下の通りです。

どの指標に:紹介者数、面談・会食回数、面接数、採用者数など
誰に:紹介者個人、紹介者と被紹介者、部署など
何を:金銭、クオカードや商品券、食費や会食費、休日日数、景品など

自社の風土にあったインセンティブを設定して制度を根付かせられれば、リファラル採用の成功にぐっと近づくはずです。

 

企業風土の改善を並行して行う


リファラル採用には、社員に「うちの会社なら自信と責任を持って友人・知人に紹介できる」と思ってもらうことが必要です。
つまり制度の内容以前に、社員の会社に対する誇りや愛着が前提となります。

そのためリファラル採用の成否には、社員満足度(ES)やエンゲージメントの向上が不可欠です。
これらは短期的に向上させられるものではないので、継続的に待遇、職場環境、人間関係、福利厚生などの見直しや改善を続けていくことが必要となります。
社員がイキイキと楽しく働ける環境づくりに注力すれば、自然とリファラル採用にもつながってくるはずです。

 

リファラル採用も他の採用手法と同様に、決して万能ではありません。
メリットとデメリットを理解して、自社の風土と照らし合わせた上で、従来の採用手法と上手に使い分けていただければと思います。


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