キャリコンフェスONLINE~人生100年時代のキャリア形成力~ イベントレポート
今年5月に、3DAYSで150名の方にご参加いただいた「キャリコンフェスONLINE」が帰ってきました!!
「人生100年時代のキャリア形成力」をテーマに掲げた今回は、168名の方にお申し込みいただきました。今年9月にキャリコンサロン/HRラボのアドバイザーに就任されたタナケン先生こと法政大学の田中研之輔先生と、キャリコンサロン代表の塚田氏とのコラボイベントとして、二部構成のイベント実施となりました。
第一部では、企業で働くミドルシニア層の現状とキャリア支援従事者として、このテーマにどう関わるかべきなどをタナケン先生から学ぶ時間でした。また、第二部では企業でのキャリア開発施策に焦点を充てたパネルディスカッションを実施。中小企業でのキャリア開発支援室の導入実績を持つ塚田さんを中心に、企業のニーズや導入のポイント、キャリア開発支援の今後の展望について意見を交わしました。
日時
2020年11月14日 14:00~16:30
お申し込み
168名
プログラム
【第一部】 講演
ミドルシニアのキャリア開発
人事・キャリアコンサルタントに求められる役割とは
講師:法政大学キャリアデザイン学部教授 田中研之輔先生
❑ミドルシニア社員が置かれている状況
❑キャリア自律と自己客観化へのヒント
❑キャリア面談の必要性と具体的ステップ
❑ミドルシニア社員を活性化させるための秘訣
【第二部】 パネルディスカッション
人材開発からキャリア開発へ→「キャリア支援室」が描く未来
パネラー:田中研之輔先生、HRラボ株式会社代表 塚田亜弓氏
モデレーター:HRラボ株式会社/ベネッセコーポレーション人事 杉島誠氏
❑企業における「キャリア支援室」の価値と役割
❑導入企業の声
❑企業をサポートするキャリア従事者の役割
参加者の声
・タナケン先生から最新の知見と熱いメッセージをたくさんいただきました。
キャリコンとしてミッションを全うするということに勇気をいただけたなと思います!
ありがとうございました。
・とても勉強になりました。3月にキャリコンの試験を受けるので早く合格してキャリコンサロンに入会したいと思います。
・キャリア支援室、ぜひ当社にも取り入れようと思います。社内にてキャリアコンサルタントの専門家として、自信をもって従業員に発信していきたいと思います。
・タナケン先生のお話、初めてお聞きしました。これからキャリコンが活躍できる時代だと思いますので、社会に貢献していきたいと思います。
・キャリア開発に関わる現在の社会の状況、具体的な施策の一部、キャリコンとしてどうあるべきかなど気づきと考えるきっかけをいただきました。現職の企業ではどうなのか、家族はどうしていきたいと思っているのかなど改めて考える機会となりました。是非何かしら具体的な行動に繋げたいと思います。来月、キャリアのお話をする機会をいただいていますので、本日のエッセンスも是非共有させていただきたいと思います。
・世の中が大きく変化している中で、企業内での対応がまだまだ遅れている点を改めて認識致しました。また、その実現には時間がかかるが、外部リソースもうまく活用しながら地道に進めていかなくてはならないと感じました。
・熱いタナケン先生のお話しから始まり、塚田さんの企業としての事例も交えてお話伺えたことが本当にありがたかったです。
特にキャリコンはキャリア開発で経営コンサルタントを超えていくんだ、というお話は、私も日頃そう思っておりますので、共感したポイントです。
・キャリア関連の資格をもっていないのですが、キャリコンを取得したいと思いました。国家資格として、職能集団のプロフェッショナル意識とその専門家を支援する田中先生や塚田さん達の組織的なつながりを感じました。個を生かすための組織があり、組織を成立させるための個がある。それがプロティアンの目指す自律的キャリアであり、組織なのだと腹落ちしました。ありがとうございました。
・現在、キャリアコンサルタントの試験に向けて勉強中ですが、ほぼ困っている方に向けてのキャリアコンサルティングが中心で少し違和感を感じていました。もちろん困っている方を助けたいですが、本日のキャリコンフェスは企業側の立場やミドルシニア層のキャリア開発ということで、現場のことなど、パネラーの方々に、多角的にアウトプットしていただいたので、とても勉強になりました。
・Twitterでも投稿しましたが、来週キャリア形成サポートセンターからの仕事で、初めて企業の50代男性のキャリコンをすることになっていたため、とてもタイムリーな学びとなりました。CLが何歳であっても、「どうありたいか」「現在地の確認」「目標設定」が大切なのだと気付きました。また、やる気がない訳ではなく活躍の仕方がわからない、という言葉も印象的でした。まずはビジトレを読みます!
第一部講演内容抜粋≪タナケン先生の言葉より≫
・企業はキャリア開発支援への必要性を感じているが、若手への施策の集中や、社内にキャリアの専門的な知識を持つリソースの不足などにより手が回っていないのが現状。
特に中小企業はリソース不足から対策が打てていない。中の人ではできないからこそ外部の専門化の支援が求められている
・これまでのキャリア支援策は2-6-2理論の下層の2の部分、特にメンタルの問題を抱えた人に集中して行われてきたが、これからのキャリア支援は中間層の6の部分にいかに注力できるかが分かれ目になる。
・企業のミドルシニア層のモチベーションの低下は本人だけでなく構造的な問題によるところも大きい。能力開発の機会がふんだんに用意されている若手・中堅層と違い、自律と称した放置の横行により、モチベーションの低下を招いている。40代、50代でも研修が必要なのにそれが抜けてしまっている。
・キャリア支援策は人の意識・行動の変容に有効なことは研究から示されている。
ただ、業績や採用には即効性のある施策ではない。自律型人材が増えることで
結果として社内が活発になり、売り上げに影響が出てくる。
経営者には、この施策はあくまでも未来への投資であり、効果が出るには時間がかかることを伝えてほしい。企業のニーズはあるのでこの点が理解されれば展開は可能。
・キャリア支援施策の展開により退職が増えることを心配されるが、それは決してない。
キャリア形成を支援するのは企業の役割。むしろそれを果たさず放置する方が退職を招く。
・キャリア面談の効果的な内容は「将来のキャリア展望」と、「能力開発・育成」。プライベートは持ち込むと逆効果になりやすい。特に社内の担当者で行う1on1では危険。
この点は、社外のキャリコンに任せる方がよい。
・ミドルシニアへのキャリア開発はこれまで「守り」が主眼だった。
若手と同じように、キャリアの展望の整理や実現のための能力開発のトレーニングを
積極的にやっていい。
・キャリア開発支援には社内外の連携も大切。社内でできることは何か、
社内ではできず社外に頼る必要があることは何かをしっかり整理して取り組むと
施策の進展にもつながりやすい。
・企業とキャリコンに求められているのは、①キャリア開発研修の「キャリア自律型研修への刷新」②「キャリア開発実態の知見の共有」③「キャリア開発支援の組織間連携」の3点
第二部内容抜粋
◇塚田さんの企業ニーズ解説より
・人生100年時代というだけでなく、コロナ禍を経てキャリア観の変化が大きくなってきている。仕事選びの基準に出社する回数(テレワークの頻度)も加わった。ジョブ型の勤務、働き方への意識の高まりを感じている。
◇パネルディスカッションより
・企業からのニーズについて
塚田さん「キャリア相談室を作りたい問い合わせが増えた。皆どう作ろうか、社長をどう説得するかに苦慮されている声を聴いている。どう社内プレゼンするかのハードルの高さを感じている」
タナケン先生「(ビジトレの中で出てくる)浅井さんが副社長の応援を受けながら施策を進めたのが突破口になる。経営層とぶつかるより、人事・経営、キャリア専門家との関係性をどう作るかが大事。中小企業は意思決定の人数も少ないのでできないことはないはず。キャリコンも経営やキャリアのコンサルタントだという意識を強く持つ必要がある。経営層への提案の力をつけていくのもポイント。」
・企業におけるキャリア施策の重要度はこれからどう変わるか
塚田さん「キャリア開発支援といっても研修・社内制度の充実・個々のキャリア開発支援とメニューはある。何をどういうタイミングでどうやるかが大事。カウンセリングだけでは施策とは呼べない」
・NTTコミュニケーションズ浅井氏インタビューより
塚田さん「キャリア施策は行動変容をしっかり追うことが大事。自律のきっかけをつかむまで面談を終えないという姿勢に感銘を受けた。変化が出るまで粘り強く関わるのは難しいが大事なこと。会社、社会への影響もこうした個人との向き合いに尽きる。」
タナケン先生「本当の老化は目標を持てなくなった時から始まる。目標達成のイメージを持てないとマネージメントはできない。という言葉が大事。キャリコンがそこを信じ切る。社内での関係性や評価、労務の話がついて回るのを断ち切るためにもキャリコンがぶれてはいけない。行動変容を信じて入ってできるキャリコンは少ない。」
・経営層をどう味方につけるか
塚田さん「経営者と同じ目線でやっていく。どんな事ができるかを徹底的に追及する。そのためにクライアント先の社内制度や賃金体系などを調べる。知っていることで腹を割って話してもらうことを狙う。」
タナケン先生「キャリコンのブランド化が必要。キャリコンはキャリアに関しては経営コンサルタントを超える。第三者的に関わると遠慮したくなる気持ちもわかるが、いうべきことはいう。遠慮する必要はない」
運営担当より
今回はキャリコンフェスとしても過去最高となる人数の方にご参加いただき、ミドルシニア層のキャリア開発や、キャリア開発支援室などの支援施策の導入・展開への関心の高さを実感しました。
タナケン先生の講義は、キャリア開発支援施策の広まりへの熱意を強く感じる内容で、勇気づけられる部分もありました。また「キャリアコンサルタントは企業へのキャリア支援の能力と経営への影響力で経営コンサルタントを超える」との言葉からはこれまで以上にキャリコン全体に知識や意識の向上の必要性を感じ気を引き締められる思いをした参加者も多かったように思います。
また、第二部では、企業支援の最前線で活躍されている塚田さんや多くの企業事例から、より現場を具体的にイメージできたのではないでしょうか。
今回も進行に合わせて多くのコメントや質問をいただき、オンラインであっても、その場にいるような盛り上がりを見られたイベントとなりました。
ご参加の皆様、本当にありがとうございました。